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「洋太さん。洋太さんは、いつ、一颯の実家が焼失してないと知ったんですか? 世田谷の一颯の実家に行ったのはいつ?」
「まだ実家があると知ったのは一週間前の深夜だよ。直接、一颯ちゃんの実家に行って知ったよ。リビングのガラス窓が割れてて。手を突っ込めばクレセント錠が回せたんですよ。村上さんがやったんですよね? 自分の無実を証明するために一颯ちゃんを連れて」
「い……一週間前まで、一颯の実家は焼失したと本気で思ってた? 一颯と同じように?」
「そうです。Canalsの応接室に行ったことでいろいろ、不審に思うことがありました。一颯ちゃんが、買収が進んでいるCanalsの事情を知るために一時入社をしてるでしょ?」
「えっ……」
「でも入社からしばらくしたら、連絡がつきにくくなったと父が焦っているように見えた。応接で会った時は態度がいきなり変わってて、Canalsの副社長は両親の事故の犯人ではないと言い出す。僕にはあの時はなんの話だかわからなかった。あなたも買収の話を何度も断っている、とか言っているし。なによりめちゃくちゃに好戦的だし」
ちょっと待て。
洋太は穏便にCanalsが買収されると思っていたのか?
その先鋒として一颯が一時入社したと?
一颯がハッキングをやらされていることも知らなかった?
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