◇◇村上健司◇◇ 悔恨

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いや……ちょっと業界に詳しい人間なら、Canalsは創業メンバーの結束が固く、勢いにも乗っていて、簡単に買収に応じることはないとわかるはずだ。 一颯もCanalsを調べた時に、無理だと思った、と打ち明けた。 品川ゼミナールの専務の肩書を持ってはいても、洋太は業界のことにも、なんなら自社の事にすら興味がないんだろう。 あくまで彼にとって本業はモデルなのだ。 「一颯ちゃんの態度もおかしい。とにかく父は一颯ちゃんのプログラミングの才能を利用しようとしてる節があるから、そこはすごく心配してた。応接で会ってから、『お願いだから叔父さんにCanalsの買収を踏みとどまらせてくれ』って何度も電話がかかってくる。一颯ちゃんから電話がくることなんてそうそうないのにね」 「あの……。俺が、品川さん親子に対して抱いている認識と洋太さん自身が、わりと乖離(かいり)してる気がするんですよね。一颯が品川家に引き取られてからの洋太さんとの関係性を、聞かせてもらってもいいですか? それから、僕への攻撃材料があるなら攻撃してくれていいですから。相応しくない、ってさっき言ってましたもんね」
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