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「はい?」
「相応しくない、って言ったでしょ? 村上健司さん」
それは……そうかもしれない。
一颯の気持ちを深く考える余裕がなかった。
「性急な行動に出たことは反省しています。今は、きちんと気持ちの整理ができるまで待つと約束ーー」
「一颯ちゃんの同級生で当時の想い人だと知ってから、調べましたよ、あなたのこと。昔、一颯ちゃんに白衣観音の話をしたことがありますよね? 小学校の頃です」
「え?」
「彼女が見たかったものは白衣観音だ。遠くから見ると山の上に人が立つかのように見える不思議な観音像だ」
一颯が、二葉ちゃんと席を替わった理由があの観音像?
「ずいぶん……相当に時間をかけてあなたのことをくまなく調べた。一颯ちゃんを本当に幸せにしてくれる人物かどうか。あなたが何かのセミナー講師をやった時のアーカイブがネットに残っていた。白衣観音の話をしていましたよね? 子供の頃に見たものなのに、忘れられない。自分にとって強烈にインパクトがあった。仕事をする上で、顧客にはそういうインパクトを与えられるようになってほしい、みたいな話でしたよ」
確かに白衣観音の話は、インパクトの実例として使ったことがある。
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