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「これ、絶対市販のルーのカレーじゃないもん。ルーから作ってるだろ? こんだけのことしてもらってて、つき合ってないってなんなの?」
料理が好きな奥さんがいると、カレーも市販かどうかが一目でわかるのか。
「たぶん、三時間つき合って、一時、離れよう、って決めて、でも一颯の気持ちの整理がついたら俺のとこに戻ってくれることになってた。でも……きっと、もう戻らない方がいいんだろうな……って」
俺はごにょごにょと、小声で搾り出すように話す。
うー、これだけで涙が出そう。
「意味わかんねえ。てか、その三時間だけつき合った、ってなに?」
「いや、だから三時間くらいはつき合った。たぶん」
「ヤッたってことだな?」
「そういうゲスい言い方はやめろよ!」
「えっ?」
ナツの目が、〝この程度がゲスいって、お前、誰?〟 と語っている。
そりゃそうだ。今まで俺だって普通に使ってきた言葉だ。
「いや……その表現はちょっと……そぐわない」
「とりあえず健司、なんか食おう。このカレー食うか? めちゃ美味そうだぞ? 白飯ってあるのかな」
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