◇◇村上健司◇◇ 友情

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ナツは炊飯器に視線を移す。 「いや、今は、それは……食べられない。……とても。冷凍するわ。白飯はまだある」 「そっか。もう俺が作るわ。そこに座っとけ!」 「え……。できんのか?」  バーベキュー料理以外のものが。 「ちょっとはな」  それからナツは三十分くらいで炒飯を作って、俺の腰掛けるソファの前のテーブルにドン! と置いた。 一颯ほどの手際の良さはないけど、俺や夕凪よりは全然まともだ。  ふわふわの卵とイマイチ不恰好な野菜がふんだんに入っている。 「まず、食え!」 「い、いただきます」  一緒に持ってきてくれたスプーンで口に運ぶ。 「美味い……」  空きっ腹に染みるように醤油の風味と温かさが広がっていく。 「よかった」 「変わったな、ナツ。こんなことまでできるようになってるとは……」 「いや、お前のほうが変わったって。泣いただろ」
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