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「げ……」
俺は両手で目元をごしごし擦った。
「健司は中高のラグビーじゃ常に学年のリーダーだったし、最後は部長もやってた。いつも泣く方じゃなくて慰める方だった。自分だって泣きたかっただろうに、まわりを慰めてまわってた。俺が、おっそーい初恋でうだうだやってる時からわりと最近のトラブルまで、常に慰めて鼓舞する役回りだったもんな」
「ナツ、だーだー泣くもんな。中高のラグビーなんて、いいとこまでいった試合は、勝っても負けても泣くし」
「まあもうな。お前の前で格好つけるのやめたわけよ。ある程度のとこから」
「そっか」
俺はソファの上に胡座をかき、毛布を頭の上まで引き上げた。
「何があったのよ?」
吐き出せば楽になるし、どっちにしろ、Canalsの社長であるナツには、知っておいてもらわないといけないことが多すぎる。
でもなんて切り出したらいいのか迷っていると、ナツのほうが語り出した。
「お互いに感情の制御ができなくなり勢いで性交渉をなさり、でもその前に片付けなくちゃならない課題があったことを後で知ったか、気づいたか。だからそれを片付けるまで別れるって感じ?」
「うわー……」
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