◇◇村上健司◇◇ 邂逅

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そして月城の態度は落ち着いていて、適度に打ち解けていて、なんというか……めちゃくちゃ感じがよかった。 受け取るものだけ受け取ったらバイバイみたいな、ある意味それが当たり前の行動にもでないでくれるのが、再会にテンションの上がる俺には嬉しすぎる。 おそらく月城が言うように、ダウンジャケットを先に取り違えたのは彼女の方なんだろう。 美容院ではクロークを大きく開いて見せられたけれど、俺のダウンジャケットの他に黒い似たようなものはあっても、同じブランドマークのものはなかったと言い切れる。 自分が悪いと感じて、こんな既知でもない男と楽しそうに喋ってくれているんだろうか。 昔の性格を考えても、決して人見知りをするタイプじゃなく、むしろ誰とでもすぐに打ち解けていた。 気を遣っているわけじゃなく、今でもこれが素? それにしても、これだけ喋っても俺が自分にとっての旧友だと、気付く様子がさらさらない。一度そこに考えが及ぶと、俺はあからさまに落ち込んだ。 我が社が今まさに欲しい月城のスペックに引っ張られて、矢継ぎ早に話題を展開させてしまい、気づけば、小学生の時、同じクラスで仲が良かった月城一颯(つきしろいぶき)だろ? と今さら言い出しにくい雰囲気になってしまっている。
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