◇◇村上健司◇◇ 友情

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「品川って、買収がしつこいとか枝川が話してた品川ゼミナールの品川?」 「……そう」 「裏があるんだな?」 「ナツ、社長だし、知っててもらわないと、いけない事でもあるよな……」 「溜めとけないくらいいっぱいいっぱいなんだろ? 吐き出せよ。会社にも関係ある事なら仕方ない。プライベート部分はここだけの話にする」 「ありがと……」  俺はそこからぽつぽつと話し始めた。 プライベートに触れないわけにはいかない。でもCanalsに関係のある話にできるだけ絞った。 つもりだけれど、頭が混乱しているし、そもそもプライベートときっぱり分けるのは難しい。  キャリア採用で一颯が入社、再会した初恋の子は記憶喪失で俺のことを覚えていなかった。 入社は品川の差し金で、内部事情を探る目的のほかに、ハッキングで個人情報を流出させ、IPOを阻止、銀行融資を渋らせて困窮させ、買い叩く作戦だった。  その後の俺と一颯の動向も話した。
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