◇◇村上健司◇◇ 友情

15/20
前へ
/388ページ
次へ
「考えてみたんだけど、たぶん思い出してない。一颯、日記をつけてたんだよ。それって旅行の前で終わってるわけだろ? 行き先がそこだったわけじゃないみたいだし、途中にそれが見える、ってことは、親が近くなって教えたんじゃないかな? じゃなければわざわざサービスエリアに入って席を交代したりしないだろ? 一颯は日記に書いてあった出来事に沿って記憶が戻ってる節がある」 「そうなんだ……」 「自分が、一颯の不幸の元凶なんて……俺、どうしたらいいんだろう」 「不幸の元凶なんかじゃないって。偶然が悪い方に重なった結果だろ? たまたま妹さんが他のとこを見てたらそうはならなかったし、違うぶつかり方をしてれば結果も違う。それを知った時に、月城さんがどう感じるかだよ」 「一颯は……もしかしたら克服しようとしてくれるかもしれない。でも……俺は白衣観音のスライドで倒れた一颯を見てる。せっかく記憶を取り戻して、これから自分の人生を歩めるのに、また過去に囚われる元と一緒にいるなんて……」 「でもな、月城さんにとっては、健司と別れる方が辛いかもしれないんだぞ?」
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1484人が本棚に入れています
本棚に追加