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「……俺は、今は日本を離れられない」
ナツには、会社より大事なものがある。
「俺だってCanalsが大事だよ。時期の問題だし、みんなにも会社と別次元で大事なものはある。会社のためにも創業メンバーはいい融通の仕方をしたい。仲間だろ?」
俺の思考を読んでいたような答えだ。
「アメリカには俺が行くよ。支社長として。あっちの方がテクノロジーが進んでるから、デジタル分野から行く可能性が高かったろ? 俺か枝川だったら、新婚になる枝川より俺の方が適任だ」
「ただな、それを逃げに使うなよ」
「だって……」
日本の同じ会社にいれば、一颯が他の誰かを好きになって、他の誰かと幸せになるところを見なくちゃならない。
考えるだけで頭が変になりそうだ。
でも俺はそれを祝わなくちゃならない。
「最初にやるべき事は月城さんと品川ゼミナールを切り離すことだ。もう彼女に手出しができないように法的な措置を取る」
「ナツ、頼むよ。これから先も一颯のこと……」
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