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「はい」
「この間送ってくれた書類、全部精査したんだ。で、東欧塾の人間に会ってきた。まず、うちは品川ゼミナールに買収されることはない、と話した。それから簡単な報告書を作って、品川ゼミナールの品川にどんな背景があるのか説明した。で、内密に意向を聞いた」
「意向?」
「そう。これから品川ゼミナールとどんな提携を結ぶつもりか? ってね」
「そしたら?」
「品川ゼミナールとの提携は社での協議の結果、白紙に戻ったって言われたよ」
「それって、実際はその場で即決ってことじゃないの? 東欧塾の誰に会ったの?」
「社長」
「あれほどの規模の会社の社長がすぐに会ってくれたんだ?」
「な。びっくりしたよ」
笑顔が吹き抜けのエントランスの照明に弾けるようで、またしても胸が苦しくなる。
東欧塾は国内最大手のひとつだ。
そこの社長が格下の会社の副社長に会う。
健司は何か策を講じて出てくるように仕向けたんだろう。
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