◇◇村上健司◇◇ 邂逅2◇

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 手狭になってオフィスビルを借り直した。その際、リノベーションで、休憩室とパウダールーム、あとは医務室以外の仕切りは全部ガラスにした。 給湯設備のついた休憩室とパウダールームはそこだけ悪目立ちしないよう、デザイン性重視だ。 下の方をうまく鏡にして銀の球体が浮いているように見せる工夫がしてある。実際は円筒だ。男女で勾玉(まがたま)の形を組み合わせて円の形にしている。 ワンフロア借り上げができるビルにもこだわり、相当な広さのオフィスにはガラスの仕切りや、大量の巨大グリーンを置いている。二酸化炭素の量も減って森林浴のレベルだ。 席を決めないフリーアドレス制で、ちょっとした荷物はカフェのように下の籠に置ける。 そのかわりロッカーは個人のものがあって、静脈認証(じょうみゃくにんしょう)だ。 そして等間隔に、今、俺がいるガラスの役員室と同じものが十室配置されている。創業からの十人分の役員室だ。 ここにはデスクと、四人が掛けられるプチ応接セットがある。 ガラス張りは、某海外巨大企業の本社に触発されて俺が役員会でゴリ押しした。 「これからの時代はオフィスの見た目も大事だって! 若くて優秀な社員はそういうのが好きだって!」 と。
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