◇◇村上健司◇◇ 邂逅2◇

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どうして俺は月城を最終まで残すよう最初から進言しなかったんだろうか。 電報堂で、総合デジタル本部のSNS広告事業課のチーフというキャリアは充分だし、それ以上に性格も人間性も知っている。 でも何かが引っ掛かっているのも事実なのだ。  最終の役員面接を執り行う部屋は、このビルの最上階、四十二階の貸スペースだ。今はうちの社が借り上げている。 さすがにガラス張りの空間で面接するわけにはいかない。 ガラス張りじゃまずい話もあり、そこは応接室と多目的ルームに使っている。今回の最終面接は多目的ルームでやる。 エレベーターを降りて廊下を歩いていると、背後からきた我が社の社長もとい、長年の友人のナツが素っ頓狂な声をあげて俺の肩を掴んだ。 「どうした健司!」 どうやら隣のエレベーターに乗っていて、俺の少し後にここの階に着いたらしい。誰もいないと社長と副社長といえど、このくだけよう。 「なにが?」
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