◇◇村上健司◇◇ 邂逅2◇

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「赤堀さん、月城さん。進捗状況ってどんな感じ?」 キャリア採用の三人が入社して一週間がたった。  俺は社員が仕事をするデスクの合間通路を通って副社長室に向かう。新人ふたりが並んだデスクの間で足を止める。 月城も赤堀さんも、今は他の仕事をやっている篠谷くんも問題なく馴染んでいる。 月城と赤堀さんはデジタル統括本部のSNS運用・アプリ開発を主とするアプリ・広告セクターに、そして篠谷くんは情報セクターに配属になった。 おそらく三人の中では赤堀さんが、一番コードを書くことに()けている。 入社後の初仕事として、赤堀さんと月城には、社員の仕事状況を把握するアプリを作ってもらっている。 これで手の空いた人は、やる気があるなら仕事の溜まっている箇所を手伝えるようになる。 そして仕事のフロー状況は役員にのみ可視化されて届く。一般社員にはその形態のみを告知する予定だ。 「まだかかりそうですね。どうせなら細かい仕事内容まで管理するようにした方が、のちのち使いやすいと思うので」  赤堀さんが俺の方を振り向いて答える。 「そうだね。使いやすさ重視でお願いしたい。リモート陣の仕事状況もね」 「はい」
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