◇◇村上健司◇◇ 邂逅2◇

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 ……月城が俺を見る目に微かな険を含んでいるような気がするのは、気のせいだろうか。 それは再会した時のことを、後から思い起こしてみてもそう感じるのだ。あれほど柔らかくて感じのいい態度を取ってくれていたのに、どうしてそんな気がするんだろうか。 やっぱり、俺をほぼ覚えていなかった事がよほど心に突き刺さっていて、それが原因でそう映ってしまうだけなんだろうか。 歓迎ボーリング大会は土曜日の午後三時に開催だ。デジタル統括本部、アプリ・広告セクターの社員総勢二十八人が現地に集合することになった。 土曜日、俺はたいていヨットで海に出ている。ヨットは学生時代から続けていて、もはや趣味以上の生活の一部になっている。 Canalsには大学のヨット部から今のヨットチームにいたるまでずっと一緒の創業メンバーが何人かいて、そいつらとは休みの日にまで顔を合わせることになるわけだ。 学生時代から現在まで同じヨットチームのナツに「次の土曜日は歓迎会だから休むな」と連絡した時に、腑に落ちないことを言われた。
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