◇◇村上健司◇◇ 邂逅2◇

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「社の用事でヨットが潰れるにしちゃ声が弾んでねえか? 健司」 「そんなことがあるかよ」 その時はそう答えた。  いや……。社の連中とボーリング、滅多にないこういうイベントは全然嫌ではない。 むしろ創業メンバーとして必要なことだと認識している。実際、俺自身参加してしまえば充分楽しんでいる。 ただ他の娯楽に対して、ヨットが俺の中では大きく優っているだけの話だ。それでいつも声に曇りが出てしまうんだろう。 それはナツや大内や寺田も同じらしく、社の用事でヨットを休む時のやつらの声音を聞いているから、その特徴はよくわかる。微妙に落ちている。 それが、声が弾んでる、だと? そんなことってあるか?  お……? 振り向いてみると寝室のベッドの上には、クローゼットから出してきたと思しきパーカーやらシャツやらセーターが放り出されている。 俺はここで、初めてのデートに出かける前の男子中学生かのように、ひとりファッションショーを繰り広げていたらしい。 「ばかばかしい!」
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