◇◇村上健司◇◇ 邂逅

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 中学受験をして私立大学付属の男子校に通い始めた俺は、月城一颯(つきしろいぶき)とは小学校卒業の時に離れてしまった。 何も言わずに月城と別れた。 喧嘩友達だった月城に対して、つき合うだとか告白だとか、そういう概念自体が思い浮かばなかった。  幼くて、まだ自分の感情がそこまで強いものだと自覚もできずにいたのだ。 その後、何度かあったクラス会に、月城は最初の一、二回だけ来て、その後は姿を見せていない。 そして高校に入ったくらいから、小学校のクラス会自体が開催されなくなった。 二十六になるこの年まで、俺は何人もの女の子を好きになり、交際にも発展した。 一度つき合い始めると数年は続くパターンが多かった。 恋愛に関しても、それなりに充実した青春時代を送ってきた方だと思う。  でもいまだにどうしてもこの子だ! という相手には巡り会えていないような気がする。 結婚とは、そういう相手とするものだという気持ちが、いつの頃からか強くなってきていた。 今、仕事が面白くて、恋愛とか結婚への願望が薄れていることもあるんだろう。 だけど、おそらく、一番の原因は親友の恋愛を近くで見てきた事が大きい。
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