◇◇村上健司◇◇ 邂逅2◇

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「わー! 芹沼さんすごーい!」 「ほんと! わたしのミス全カバーでめちゃくちゃ感謝してますー」  月城と松井さんの女子二人が、テンションマックスで跳ね、両手を掲げてハイタッチを迫る勢いで、アプローチ付近まで芹沼を迎えにいく。 そこまで喜ばれた芹沼は悪い気はしなかったのだろう。満更でもない笑顔でハイタッチに応えた。 苦笑いの麦田も両手をあげてハイタッチの形をとっている。 もしかしてさっきの月城の助言はこれ? こうやって空気を悪くしないこと? その後の隣のチームは、危なっかしくもうまくやっているようだった。芹沼が、ボーリングが苦手らしい松井さんに舌打ちをするような事態は起きなかった。 「芹沼さんっ。ちょっとカナちゃんのフォーム見てあげてくださーい!」 投げる松井さんと一緒にアプローチに上がっていた月城が、大げさに芹沼を手招きする。 面倒くさそうなポーズを取りながらも芹沼は松井さんのフォームを直し、投げ方の指導をしているようだった。 「おっ」 松井さんのスコアを電光掲示板で確認すると、なんとピンが七本も倒れている。 スぺアでもストライクでもないけれどガーターよりはずっとマシだ。
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