◇◇月城一颯◇◇ 相違

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想像していた人物像と、あまりに違う。 会議室で、大型スクリーンのレーザーポインターの箇所よりも、わたしはその前に立って説明を続ける村上健司に視線がいきがちだった。 Canalsの広いフロアに自分の居場所がある。やっとこの位置まで漕ぎ着けた。 Canalsの今までの歩みや功績を調べるうちに、気づくと強烈に惹かれている自分に愕然(がくぜん)とする。 Canalsは創業時から常にファーストペンギンだった。 餌を取るための海には天敵のアザラシがいる。恐怖で入水をためらうペンギンの群れの中で、最初に飛び込む一匹のことをファーストペンギンというらしい。 そこから、ビジネス等でも先陣切って新しいことに挑戦する企業や個人のことを、指すワードにもなった。 ファーストペンギンは、天敵の餌食になる危険と引き換えに、一番いい獲物にありつける可能性が高い。 Canalsは他の既存のサービスとはかけ離れたものを提供し続けている。知れば魅力的だと思わずにはいられない。 けれど、会社の魅力と個人のそれは別物だ。
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