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怖い。すごくすごくすごく怖い。
と、同時に……胸の奥深い場所に静かに眠り続けていた琴線に触れる気がした。こんなに怖いのに、なぜだかそれはとても柔らかく、甘酸っぱい感情を連れてくる。
でもやっぱり恐ろしさの方がずっと優っている。
「のちのち忘れられないようなインパクトが大切なんだ。まず最初の一撃を与えること。僕にとっての白衣観音のように、みんなにもそういう経験があるかと思う。思い出してみてほしい。自分の概念が覆されるような衝撃を」
どうしてだろう。脳の一部がショートするような感覚がする。
「君たちが人生で感じた最大のインパクト。それを顧客やユーザーに提供できるようにーー」
村上健司の言葉がどんどん遠のいていく。
それでも目の前のスクリーンに視線が貼り付けられて、逸らす事ができない。
山の上に立つ人型。あれが……白衣観音。
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