◇◇月城一颯◇◇ 相違

9/9
前へ
/261ページ
次へ
吐き気が込み上げてきて、わたしは両手で口を押さえた。 ぐらついて右肩が長テーブルの淵に激突し、痛みを感じる。 次に頭がそこについたかどうかというところで、今度は身体が横に倒れていくのを感じる。 「月城さん?」  スクリーンの前でわたしの変化に気づいたらしい村上健司の呟きが、なぜか耳に入ってきた。 わたしは、気を失うのだろうか。気を失えば、みんなの前で嘔吐(おうと)するなんて迷惑で恥ずかしいことにならなくて済む……とどこか冷静な自分が考えている。 「月城っ!」 叫んだのはおそらく村上健司だ。わたしは床の冷たさを感じた。
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!

306人が本棚に入れています
本棚に追加