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あれから、半月、月城の体調に問題はなかった。
たまたま昼に食べたもので気持ちが悪くなったとか、その類の説明を上司にはしていたらしい。
月城と赤堀さんが担当してくれているアプリ開発も、進みは遅いけれど順調だと報告を受けている。
今日も仕事を終え、十二時近くに1LDKの自宅マンションに戻る。
「ミケ、チャピ。ただいま」
去年、公園に捨てられていた仔猫を、縁があったものだと二匹飼い始めた。
俺は家にいない時間が多すぎて可哀想だとは思うものの、放っておくわけにもいかず、実家の家族に協力してもらいながら飼っている。
二匹だったのはまだ幸運だった。
いまや立派な成猫になっている。
俺の足元に寄ってきたミケとチャピの頭を両手で撫でる。
帰ってきて出迎えてくれる存在があることがこんなに癒しになるとは知らなかった。
ミケとチャピのカメラ付き自動給餌器を確認する。
餌が出る時に録音した俺の声が流れる仕組みになっていて、なかなかありがたい着眼点だ。
「おう。お前らちゃんと食べたな。おやつ食うか?」
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