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寝床にまで仕事を持ち込むのはやめようと決めていながらも、チャピの頭を撫でながら、スマホで今日の業務で気になったところを確認――。
ビビビビビー。
「え……」
未来永劫、鳴るはずがないと思っていた警告音が俺のスマホから発された。
時刻は深夜一時。
でもそんなことに構っている余裕はなかった。
俺はまず同じデジタル統括の枝川のスマホ、それから代表取締役のナツのスマホに電話をかけた。
「どういうことだよ、健司」
オフィスの俺のデスクに駆けつけた枝川が、困惑の表情で聞いてくる。
パジャマにしているんだろう上下揃いのスエットの上から、ダウンジャケットを羽織っただけの姿だった。
それは俺も似たようなものだ。二人とも都内からタクシーで社に乗りつけた。
「まあ落ち着こうぜ。俺めっちゃ寒いわ。コーヒー飲みたい」
「そうだな、俺も」
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