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この夜中だ。ビルの暖房が切れているのだ。
俺たちは気が急いて足早に給湯室に向かい温かいコーヒーをマイカップに淹れて戻ってきた。
俺たち二人のいる副社長室から見える廊下には、このビルの警備員が待機してくれている。
「で? 健司、なんで警報が鳴ったの?」
「まだ詳しくはわかんねえ」
俺はデスク上のノートパソコンを開きながら答えた。
「でもその、健司の作ったネットワーク侵入検知システムと防御システムのソフトで流出だけは免れたんだよな?」
「そこは間違いない」
そこでフロアタイルを蹴る音を響かせて、人影がすごいスピードでこっちに向かってくるのが確認できた。やっぱりガラス張りは便利じゃねえか。
「健司、枝川」
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