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「ソフトに自信はあるよ。社の情報だけは何がなんでも守らなくちゃ」
デジタル統括本部のトップとしてそれは絶対だ。
俺は社の機密情報、及び社員名簿に自作のセキュリティをかけた。万が一にも誰かが不正に情報にアクセスしようとした時に作動して防御し、流出を防ぐソフトだ。事が起これば俺のスマホに連絡がくる。
既存のものも入れているけれど、そういうものはハッカーに研究され尽くしていると思ったのだ。
まさかCanals程度の会社にハッキングを仕掛けられるとは思ってもいなかった。だから俺の猛勉強の時間は無駄に終わり、ソフトは永遠に活躍の機会はないはずだった。
「何に不正アクセスされたんだ?」
枝川が聞く。
「社内名簿だ。うちの社員の名前、年齢、住所、電話番号に顔写真」
「流出してないのは確実なんだよな?」
さっきの枝川と同じことを今度はナツが聞く。
「ああ、それは間違いない」
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