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早くも情報セクターの枝川が役員のスマホにその旨を一斉送信している。
そこで俺はばばっと二つの事に思い至った。
万が一これを仕掛けてきたのが超凄腕のハッカーだったりしたら……。狙われるのは俺のパソコンか枝川のパソコンかもしれない。
社内名簿とは別に、社員から経営側の役員まで、詳細なデジタルデータをすべて網羅して管理しているのは俺か枝川のパソコンだからだ。
でも、今のところ社員名簿だけで、そこにはまだアクセスされていない。
サイバーセキュリティで外部からのアクセスが難しいとわかったら、直接このパソコンでパスワードを探ることになるんだろうか。
実際、外部からのパスワードクラックはできない仕様に、セキュリティソフトを作ったはずなのだ。
そこまでハッカー事情に詳しくはないが、本体パソコンでパスワードを探るほかには方法がないような気がする。
「枝川、しばらくパソコン自宅に持ち帰ってくれないか」
「わかった。健司もそうする?」
「いや。俺は四十二階の多目的ルームに置いて帰る」
ばばばっと思い至った事の二つ目だ。
「は? なんで? あっちはうちの警備員の担当外じゃーー」
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