◇◇村上健司◇◇ 問題

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枝川が自分の耳の近くで人差し指をくるくる回した。盗聴器がないかと聞いている。 「いくらなんでもここには仕掛けられないだろう。一応セキュリティロックもあるし有人管理のマンションだし」 「でも一階で結構な広さの専用庭があるじゃん? あの辺の茂みから入るとか……まあ無理か」  枝川が、ソーラーの常夜燈が照らす庭に視線をやり、以前、昼間に来た時の様子を思い出そうとしている。  専用庭は、常緑樹の茂みと、その向こう側の忍び返しのついた高いフェンスで囲まれている。 「あいつらがいるから庭付きにしたんだよね。あ、今はあんな調子だけど、あいつら不審人物には容赦ないから」 俺はドアが開きっぱなしのベッドルームの方を顎でしゃくった。 庭はミケとチャピの遊び場として、安全を第一に考えた。 愛猫二匹の脱走はもちろん、人が忍んでくるのも無理だと判断してこの物件を選んだ。  
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