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「まあな。でもそんな……なぁ。犯罪まがいのことしてまでうちの会社が欲しいもんかねぇ」
「今までも他がやらない事、幾つも最初に手掛けてきたから、うちの会社ごと子会社にしようとしてる、とか?」
俺は、買収や統合の誘いに、相手方に対して嫌な感情を抱かせない鮮やかな扱いで切り抜けている枝川に、振ってみた。
「んー。わかんないな。でも買収話は他からもガンガンくるだろ?」
「なあ、健司。なんか不審に思うこととか、心当たりがあるんじゃないのか?」
ナツの言葉に心臓がぎくん、と鳴る感覚がする。
「なんでそう思うわけ?」
「いや、すぐ盗聴器なんて突飛な心配し始めるし。M&Aじゃないか、とか。でもお前のそういう野生の勘みたいなのって妙に当たるからな、昔から」
「自然児だよな」
枝川も同意して笑う。
「でもぶっちゃけ、確証がなくてまだ言いたくないんだろ? なんか考えがあって自分のパソコン、多目的ルームに置く事にしたのかな、って思ってさ」
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