◇◇村上健司◇◇ 問題

23/30

302人が本棚に入れています
本棚に追加
/252ページ
「……何で多目的ルームにお前のパソコン? 俺のだって同じ情報が入ってると思うけど、俺のはいいの?」 「んー……」  枝川の問いに、今は簡潔に答えられない。  そこで助け舟を出してくれたのがナツだ。 「いいよ、健司。思った通りに動けよ。この件は健司に任せよう。な? 枝川」 「……了解」  完全には腑に落ちていない表情ながら、枝川も俺を信用しての答えを返してくれた。 バカばかりやっていた学生時代から、安定を投げ打って起業までの苦楽を共にした、ナツと枝川の信頼に感謝しきりだ。 「名簿だのこれからの新規事業だの、流出させちゃ困るものに関して、俺ができることある? もっとブロックかけたほうがいいよな」  ナツは会社が今の規模になってからはデジタル統括に関わりがなく、新規事業の立ち上げに忙しい。ラグビーでいえばナツたち新規事業の開拓は攻め、デジタル統括は守りだ。 思いつけば誰でも攻めにまわれるのがうちの会社の強みかもしれないけど、ナツの提案事業は実際多い。 「二人とも一応、できるだけパソコンは持ち歩いて。あとパスワードの変更もしょっちゅうな」 「了解」 「おー」
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

302人が本棚に入れています
本棚に追加