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解散したのが午前四時近くになっていた。
ナツは枝川を家まで送って行き、そのあと自宅に帰る。大学卒業当時、ナツはヨットをやっていた都合上、葉山に住んでいた。
だけど、事情があって都内にマンションを借りた。今回みたいな事態はそうそうないだろうが、やっぱり何かあった時は近くてありがたい。
数時間眠って出社する。さすがに眠い。めちゃくちゃ眠い。
浅見さんに何杯コーヒーをお願いしてしまったことやら。
いつもは自分で飲みたいときに勝手に淹れるけれど、俺の足取りが危なっかしいらしく、今日はわたしがやります。と宣言された。
実のところ、足取りが危なっかしいのは〝寝不足だから〟は一因に過ぎない。
「はい。副社長」
「あ、ありがと」
デスクの上にマイカップのコーヒーを置かれる。
「浅見さん、この間言ってた、海外事業部からのコードの要請だけど。難しくてできない、って言ってただろ? あれ、やれそうだよ。こっちにまわして」
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