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「あ、あれ、できました」
「えっ! すごいな。大変だっただろ?」
「……いえ。実は遅くまで残って四苦八苦してたら、月城さんが手伝ってくれました。そこだけは得意分野なんです、って言ってました」
「ええっ……ほんとに? めちゃくちゃ複雑じゃない?」
「わたしも正直びっくりしました。でも大学の卒論に使ったコード作成についての説明で、例に出したものと似てる、とかで。そこだけはたまたまできる、ってなんかやたら強調してました」
「へえ、強調……」
「まあ、卒論がそれだったなら、そこだけできても納得ですけどね」
「そうだね……」
俺がしばらく考えこんで口を閉ざしてしまったら、浅見さんが軽く会釈して背を向けた。
「副社長、失礼します」
浅見さんは副社長室から出て行った。
パズルのピースがはまるたび、完成系の絵を見たくない気持ちと、どうしてなのかわけを知りたい気持ちが拮抗する。
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