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「え……」
人間の出入りが自由じゃなく、誰かに見られてしまう可能性が高いなら、人間じゃないものの出入りはどうだろう。出入りしても不自然に見られないものは……。
俺はマイカップを手に席を立って給湯室に向かった。
「副社長! わたしやりますよ、今日は」
カップを手に部屋から出てきた俺に浅見さんが声をかける。
「いいんだ。ちょっと気分転換に休憩してくる」
「……そうですか」
俺は銀の巨大球体に見える中央エリアに向かった。本当は円筒で、男性用の勾玉ルームと女性用の勾玉ルームが合わさり円の形になる。
勾玉は三分割されていて、一番奥がパウダールーム、一番手前が給湯設備のある休憩室。
真ん中はパウダールームと隔てるために、透明ガラスで仕切られて大型観葉植物が大量に置いてあるという意味のわからないスペースだ。
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