◇◇村上健司◇◇ 対峙

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俺はビルから出ると、正面にあるコンビニで食料や水、コーヒー、夜中のオフィスがめちゃ寒い事がわかったから、長丁場に備えて日本酒のワンカップも二本買いこむ。 それを通勤用リュックに詰める。イートインで夕飯も食っておく。 さあ、これから自分のオフィスが入っているビルに不法侵入だ。用意は万端。警備員は普段から仲良くしている服部さんだと確認済み。 ビルに戻るとゲートエリアに隣接の警備員室に、慌てた様子で駆け込む。 「服部さん、すいませんー。IDカードが反応しなくて。滑って転んで曲がっちゃったんですよ。チップがおかしくなったかも」 「え! 副社長、怪我しなかったんですか?」 「まあ。それは平気なんですが、急ぎの用事で社に戻らなくちゃならないのに入れない」  俺はあらかじめ作ってきた偽のIDカードを見せた。真ん中からべっこり折れている。 「しょうがないですね。こっちから入って」
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