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それにしても無愛想なやつだ。俺らが冗談言っても、クスリとも笑わない。
「へー!アルペジオも上手いんだね?」
おそらく、指の動きを良くするため、アップ的な感じで弾いていたんだろう。それに楓が突っ込んでいる。
「どうも」
「凪、ちゃん?君?どっちで呼べばいい?」
「……呼び捨てで、大丈夫です」
目を合わせず俯きながら、ちっせー声で言った。聞こえねえよ。
「じゃ、凪で。な?雪亜」
「お。じゃ、凪。早速だが、昨日渡したスコアどこまでできるようになった?」
俺の質問に、凪は言葉せず、その代わり、ギターを弾きだしやがった。
……マジかよ、こいつ。
聴いてるだけで胸が締め付けられるような、繊細で、透明のガラスのような音。
この前作った曲にぴったりだ。
他の二つの曲も、曲の特徴に合わせてわかってやってるのか?それとも自然とそんな弾き方になるのか?
しかも、全部。一日で三曲すべて弾けるようになってやがる。
「ひぇー。すごい子来たな」
「……」
その時、ギターを操るコイツを見て、夢が叶うと直感した。
凪の音と共に、昔の記憶が蘇ってきた。
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