with you

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 あと1分でも、長話をしていたら。逆に、1分でも早く、話を切り上げていたら。  そんなことを、思わない日はなかった。  あの日、亜星は死んだ。  飲酒運転の車に撥ねられ、空に舞った。  俺の頼んだ、チーズコロッケを抱えて。  希望と夢を、たくさん詰め込んだまま。  おまえを亡くしてすぐは、もう音楽はできないと思った。  辞めたいとも思った。  毎日自分を責めたが、その怒りが亜星に向くこともあった。  俺を放置して逝きやがってって。  まだおまえに訊きたいこと、言いたいこと、山ほどあったのに。    俺じゃあ、おまえみたいな音、作れないのに。    でも俺がクヨクヨしているたびに、昔のおまえと俺が溌剌と笑うんだ。  おまえと俺と、歌いながら。    俺は、ずっと、すごく、すごく……楽しかった。  俺はおまえみたいに歌えないけど、おまえみたいに人を救いたいとか、そんなすごいことも考えられないけど、なんとか、おまえにもなってみせるよ。  おまえが残していったコーヒーのシミが付いた、手直しだらけの譜面を、この体に焼き付けてみせる。  おまえを支える音を作るのが俺の役目だと思っていた。だけどこれからは、俺とおまえの演奏。両方やるから。  心配するな。昔から、根性だけは人よりある。  だから。今日から俺は、雪亜だ。  そして、そんな頑張る俺を、支えられるようなすごいやつらを探すから。  心配するな。おまえの思いは、絶対に消えない。  バンド名は引き続き、クレオでいいよな?  ギリシャ語で、〝栄誉〟  ふふ、笑える。おまえにふさわしいバンド名だ。  いつか俺も死んで、あの世で待ち合わせした時、おまえが作りたかった(もの)はこれだろ?ってドヤ顔で言ってやるんだ。  だから、ちゃんと背中押してくれよな。  
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