皆さんは内見屋さんをご存知ですか

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 内見の当日、待ち合わせ場所に現れたのは、小綺麗なジャケットにタートルネックを合わせた、30代後半くらいのおじさんでした。  お坊さんのような人を想像していたので、あまりにも普通な出で立ちに面喰らいましたが、当の内見屋さんは「この辺りは飲食店が多いから住みやすいね」「○○線も歩けない距離ではないよ」と、慣れた様子で街案内をしてくれました。アテンドの不動産屋さんも、内見屋さんのことを私の兄か親戚と認識したようで、とくに不思議がる様子もありません。  その日は候補の物件を4件まわる予定で、1、2件目は何事もなく内見が終わりました。内見屋さんも「ここは収納が少ないね」など、ありきたりなことしか言いません。その風貌も相まって、私のなかでだんだんと「この人は何しに来たのだろう」と不信感が高まってきました。
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