喫茶ブルーローズ

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 だけど、さらに2年後、3度目の引っ越し。  辞令が出て、私は海外支社に転勤になった。その国に行くには、飛行機で、6時間。時間的にも費用的にも、何度も気軽に行き来するのは難しい。  それでも、本社出張の折など3ヵ月に一度は帰国して、私はお店に顔を出した。数日の日程の出張の合間では、故郷まで戻ることは難しい。だから、私の足は自然とあの店に向かった。  以前と変わることのない、2人の姿と、コーヒーと焼き菓子。心の底からほっとした気分になって、私はやりくりした時間で、できる限りゆったりと過ごした。 「最近、膝が痛くてねえ。特に、今日みたいにすっきりしないお天気のときは」  歳は取りたくないわねえ—。いつものクリーム色に青い絵柄のカップに注がれたコーヒーと焼き菓子をテーブルに置きながら、おばさまがため息交じりにそう言った。マスターは、無言でゆっくりとフラスコに手を伸ばした。
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