恋が丘ヒルズにご用心

恋

しかし 好美は考えずにはいられない。
笑い話かもしれないが 、先ほどの風景は本当に怖かった。自らに封印していた劣等感が暴れ出す。

本当は周りの恋愛モードの圧力に負けて引っ越しを決めた。そして、好きな人もいないから恋もできないと分かっていた。
一人で 一生を生きる覚悟もない。
だけど、誰にも見向きされず、不安や寂しさに支配された末路が見せた幻影に取り憑かれたのだろうか。それともあの瞬間だけは世界線がずれたのだろうか。いずれにしても闇の中だが、弱気になって負けたくない。

恋が丘ヒルズにはご用心を
偶然が重なれば異世界への扉が開く。
引っ越し先には 思わぬ罠が待っている。
先入観という 鍵の使い方を間違えてはならない。
私は今を生きているのだから