姉妹

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ワン ワン 「どうしたの、シロ?」 「私の方を見つめて、何かあったのかしら?」 「なんだか、私に訴えかけているみたい」 「気のせいかな?」 時は夏なのに何故か冷たい風が吹いていた。 先生、私はどう心の整理をつければいいのですか? 私はやっぱり辛い気持ちもあります でも、お姉ちゃんも好きだから…… 琴音は頑張る子でしょ だから、頑張って乗り越えないと やっぱり、先生のことが好きです 忘れられません お姉ちゃんにも幸せになってほしいし 先生も幸せになってほしいの 琴音はどうすればいいの このまま、我慢するばいいのですか? 水江も悩んでいた。 琴音、ごめんね 私だけ幸せな思いをして これでいいのかなって思うの 琴音の気持ちを考えると辛い…… 渡辺も悩んでいた。 僕はなんて残酷なのだろう このまま、水江さんと交際をすれば傷つくのは琴音ちゃんじゃないか そして、二人はできるだけ、琴音の前で会わないように交際をしていた。 「渡辺さん、これでいいのかしら?」 「琴音ちゃんのことだよね?」 「はい。琴音の気持ちを考えると辛くて」 「そうだね。僕も辛いよ。ピアノを習いに来るけど元気がなくて……」 「琴音は私のたった一人の妹だし、渡辺さんへの想いを強く感じるの」 「そうだよね、琴音ちゃんは一途だからね……接していてわかるよ」 「私は渡辺さんに会う度に琴音のことを思い出して」 二人はどこまでも優しかった。 「水江さん、辛いけど別れようか。僕は耐えきれない」 「私もそう思っていました……」 「僕はどこか遠い所へ行くよ」 「やっぱり嫌です。渡辺さんのことが忘れられないと思います」 「それは、僕も同じ気持ちだよ。でも……」 「そうですよね」 「今日はとりあえず、帰ろう。僕は複雑な気持ちでたまらない」 「はい。わかりました……」 水江は自宅に帰ると琴音の元気のない姿が目に映った。 「琴音……」 「お姉ちゃん。渡辺さんと会っていたのでしょ」 「どうして、わかったの?」 「お姉ちゃんが元気がないのがわかるから」 「それは……」 「お姉ちゃん、私のことは気にしないで」 「琴音……」 「私は頑張るから。それに川崎先生がいるだけで幸せなの……」 「それじゃ辛いでしょ」 「いいのよ。気にしなくて。私はお姉ちゃんのことが大好きだから」 「実はね、渡辺さんとお別れしようかって話をしていたところなの」 「どうして……?」 「それは……」 「だから、私のことは気にしないでって言っているでしょ」 「うううう」 お姉ちゃん、どこに行くの?泣かなくていいのに…… 水江は辛くてたまらなかった。 琴音は強かったが複雑な思いが彼女を覆っていた。 二人の行方はどうなるのだろうか?
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