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赤い花
クーン
シロ、どうしたの、どうして、そんなに寂しい表情をするの?
私がどうかしたの?
クーン
よし、よし、私は元気よ
でもね、時々悲しくなるの
お姉ちゃんのことが心配なの
お姉ちゃんは優しいから、私のことを思っていてくれててね
シロがそんな表情すると涙がでるじゃない
ワン ワン
そうよ
私も元気になったわ
今日も散歩に行きましょう
そういえば、今日は川崎先生とのレッスンだ
頑張らないと
ピンポーン
「ああ、琴音ちゃん……」
「先生、どうして、最近は元気がないの?」
「それは……」
「琴音は大丈夫よ。頑張る子だからね」
「琴音ちゃん……」
「そんな顔しないで、先生レッスンしてください」
「ああ、そうしよう」
ピアノのレッスンにて
「ほら、先生、上手になったでしょ」
「そうだね」
「そうよ。先生、その笑顔よ」
「琴音ちゃんは本当に強いね」
「そうでしょ。だって、先生は頑張る子が好きって前に言ったでしょ」
「あ、関係ないですね……ごめんなさい……」
「いいんだよ。先生もなんて言っていいかわからないじゃないか」
「じゃあ、先生、もう一度、琴音は可愛いって言って」
「ああ、琴音ちゃんは可愛いよ」
「本当!先生!」
「ああ、本当だよ」
「先生、大好き。あ、でも、お姉ちゃんがいるのね……」
「琴音ちゃん……」
「先生、ラジオでね、この曲が好きになったの。右手で弾いてみますね」
「ああ、それはシューベルトのアヴェ・マリアだね」
「うん、そうみたい」
「先生といつか一緒に弾きたいな。でも、今日はいつもの練習曲ね」
「そうだね、いつか、きっと、アヴェ・マリアを弾こうね」
「はい、先生」
「あれ、どうしたの? 琴音ちゃんボーとして?」
「先生、なんだか、今日は頭が痛いの……」
「昨日、眠れなかったからかな?」
「そうだよ。今日は家に帰ってゆっくりしなさい」
「嫌よ、先生。じゃあ、先生何か弾いて。別れの曲は駄目よ」
「ああ、わかったよ。じゃあ、アヴェ・マリアを弾くよ」
「やったあ」
「ほら、どうかな」
「先生、素敵。きれいな曲ね」
「本当、そうだね」
「うん」
「先生、やっぱり、頭がどうかあるから、今日は帰ります」
「大丈夫? 琴音ちゃん」
「うん、大丈夫よ」
「じゃあ、気をつけてね」
「はい」
帰り道の両脇にには花が咲き乱れていた。
琴音は幸せになるのかしら……
どうすればいいの?
やっぱり、辛いじゃない
先生の前ではあんなに言ったのに
ええい、花占いをしよう
花を一輪だけとって
ごめんね
一輪だけよ
私は幸せになる
私は……
やっぱりやめよう。
琴音は幸せになれるから
うん、そうしよう
あれ、白い花が少し赤くなった、どうして
え、鼻血がでてるじゃない
どうして……
昨日、眠れなかったからかしら……?
どうして……?
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