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「蜂の子? 蝗の佃煮? そんなもの食べられないよ」
私はハルナとカナと三人でとある山間部に旅行に来ていた。
「でもねユカリ、昔は貴重なタンパク質として食べてたんだよ」
ハルナが真顔でいうと私は身震いした。
「だいたい、私は昆虫が苦手なの。触るのはもちろんだけど見るのも嫌。特にムカデとか……最悪だわ。昆虫を食べるのは昔はそうかも知れないけど今は食べなくても、困ることないほど他にタンパク質は取れるでしょう?」
「そうよね、今は食べなくていい……」
言葉短めにカナが後に続いた。最近カナは口数が減ったのは気のせいか。余計なことはあまりしゃべらなくなった。
「でも、ユカリ……今日行く民宿のある場所は昔から作られ食べてたところだから案外夕食に出るかもよ」
ハルナは笑いながら私を見た。
「もうやめてよ。考えただけでも鳥肌ものよ。そんなに言うなら、もし出たらハルナが代わりに食べてよ」
「そう? 出たら興味本意で食べようかな、ねぇカナ」
私は顔をひきつらせていたがハルナとカナは笑っていた。
「冗談よ。そんな無理には食べさせないわよ。無理に食べさせて喧嘩とかなったらせっかくの旅行が台無しだからね」
白いワンピース姿のハルナは微笑んだ。スキニーパンツ姿のカナも笑っていた。
「もう、冗談じゃないわよ」
花柄のワンピースを着た私は頬を膨らませた。
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