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一緒に
正雄が少し大きくなるとテレビの〇HKが大変助かる子守になってくれる。
その中の子供番組の歌のお姉さんが歌っている歌は、全部覚えなければいけない。
放送時間外になると、正雄に歌う様せがまれるからだ。
昔からの童謡だったら覚えなくても良いのだが、その番組で歌っている歌の中には知らない曲も多くて、徹子は結局一緒にテレビを見ながら覚えるのだった。
後の時間は、正雄ははたらくくるまのDVDを繰り返し見ている。
こちらは覚えるまでもなく、徹子の耳にも歌が残ってしまう程見ているので、正雄と一緒に歌いながら時を過ごす。
夢中ですきな曲を歌っている可愛い正雄の笑顔を見ることができるのだった。
正雄の生まれた二年半後、次男の正樹が生まれる。
正樹はどちらかと言えば西洋の子守歌がお気に入りだった。
赤ちゃんのうちから、正雄と徹子の歌う歌を聞いているので、覚えているのか、自然と一緒に歌うようになった。
ドロップ〇の歌が2人の一番のお気に入りだった。
次はバナナと南の王様が出てくる歌。
毎日毎日何年間この歌を歌ったことか。
いつしか二人とも小学校に行く頃には、一緒に歌うこともなくなった。
でも、その後、更に少し年がたって、二人が徹子の身長を抜かした次男が小学校5年生を過ぎた頃から、一緒にカラオケに行くようになった。
息子二人はどこで覚えるのだろうか。ろくにテレビも一緒にみないのに、流行りの曲をどんどん歌うようになる。
徹子は昔の歌を歌うのだが、息子たちの好きなアニメの歌は覚えているのでそれは一緒に歌う事が出来た。
もう、息子たちもそれぞれ独立して一緒にカラオケに行くこともなくなったけれど、子育て中の大変な時期を乗り切れたのは歌があったからだと徹子は思っている。
歌は誰の心の中にも咲いている花で、きっと人間は歌わずにはいられないのではないかと思うのだ。
【了】
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