「紅に染まった錆びた釘を抱きしめて泣いた週末のドラマー」風

1/1
前へ
/1ページ
次へ

「紅に染まった錆びた釘を抱きしめて泣いた週末のドラマー」風

 傘も差さず、薔薇の花束を抱え立ち尽くしている。  あの時の言葉が、棘のように胸に突き刺さる。  止まらない涙は、この雨と共に流れ続ける。  過去と未来の間に揺れる孤独は、この傷と共に抱きしめて。  もう貴女は、この瞳に映ることはない。  偽りの愛は、悲しみに溶けていく。  手首を流れる血は、記憶を紅く染めていく。  激しい雨は、傷ついた心を濡らし続ける。  もう何も見えない。  心の雨は永遠に上がらない。 〈一旦終わり〉
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加