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長閑な昼下がり。
当たり前にあった当たり前の日常。
心地よい風に吹かれのんびりと時は過ぎ行く……はずだった。
ここはとある国の城内。
今、一人の男によって危機に陥っている。
「ふふ。
そいつを寄越せ!」
黒いローブをまとった男は不気味にゆらりゆらりと揺れている。
玉座があったであろうこの部屋も惨劇を物語るかのようにボロボロになっている。
「嫌だ!
俺の大事な娘だ!
命にかけても渡さない!」
風格のある男……この国の国王は娘である王女をかばい仁王立ちしている。
その隣では王妃がぐったりと横たわっている。
王妃だけではなく、城内にいる者はほぼ全員壊滅していた。
横たわる王妃を剣士であろう赤い長い髪をポニーテールにした背の高い女性が守っている。
「小賢しい。
ただの金持ちのボンボンがほざくな!」
黒いローブの男は更に間合いを詰める。
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