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「おかえりなさーい!」  月曜日の夕方、保育時間終了ギリギリに飛び込んだ保育園。  玄関を上がったところに座り込んで待ち構えていたらしい保育士が、久美を明るく迎えてくれた。その隣には一歳半になった美咲。  今の今まで、手遊びをしてくれていたようだ。 「すみません、遅くなって!」  頭を下げる久美に、担任のベテラン保育士はからりと笑う。 「まだ時間前ですよ~。でももう美咲ちゃんだけなんで、お荷物纏めておきましたから」  今日も最後になってしまったらしい。  先週の金曜日は夫の陽平がお迎えの当番だったのだが、やはり美咲が最後の一人だったそうだ。  保育園入園を最優先に考えて転居したため、久美も陽平も通勤時間が長くなってしまったのだ。   「いつもお世話掛けて本当にすみません! ……どうしてもこれが精一杯で──」 「お母さん、そんな謝ってるとこばっかり美咲ちゃんに見せちゃダメ! 遅れたならともかくちゃんと時間内でしょ?」  自身も三人の子を他の保育園に預けて働き続けたという彼女の言葉が、久美の心に重く響いた。 「先生、ありがとうございました。ほら、帰ろっか、美咲」  保育士に挨拶して、娘を抱き上げて園の玄関を出る。
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