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たしかに 主任の言う通りだ。 目で見たものが 事実とは限らないのはわかっていた。 けれど 頭ではわかっていても 心が全然ついていかなくて ひとりで悩んで悩んで 結果的に思考が悪い方向へと辿り着く悪循環。 ちゃんとあの時 逃げずに話を聞いておけば あんなにも辛く悲しい思いはしなかった。 でも 私は今回の件で 改めて主任のことが好きなんだと、 もうこの気持ちを なかったことになんて出来ない……ううん、したくない そう、自分の 気持ちに気づくことができた。 「不安があるなら、ひとりで抱え込むな。俺に言えば、どんなに小さい悩みでも解決してやるから」 「主任……」 「いいな、わかったか?」 「はい……」 優しくて あたたかくて 大好きな主任の手が 私の頭を撫で、涙をそっと拭ってくれた。 .
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