11/13
前へ
/118ページ
次へ
「まあ、今回の件は俺にも落ち度はある」 「い、いえ、主任は悪くありません!私が勝手に1人で被害妄想してただけですから!」 「……昨日、半ば強引に誘っただろ?お前が来ない可能性のほうが高くて……だから、お前が約束の時間よりも早く待ち合わせ場所にいた時、嬉しくてたまらなかった」 どこか 弱々しい声で そう話しながら 主任は私のことを抱きしめる 腕へとギュッと力を入れたのが伝わってきた。 「来てくれただけで良かったのに、それだけじゃ満足できなくなった。もっと蜜羽といたい、帰したくないって思って、咄嗟に思いついたのが寿退社する加藤へのプレゼントだった。」 いつもの主任は 強気で自信に満ち溢れていて そんな 弱っている姿を見ていると なんだか不思議な感情が芽生えてきて 気づいたら 主任の身体に腕を回し 主任の気持ちに 応えるようにギュッと腕に力を入れていた。 「契約取れたから一度社に戻ったんだ。そしたら加藤がいて渡したところをお前に見られたんだ」 「そうだったんですね」 「けど、俺は加藤にお前を紹介しようとした。が、お前が話も聞かずに逃げたから焦ったよ、本当」 「す、すみません……。でも、なんだか少し意外です。主任が私のことでそんなに余裕なくなったりするなんて」 .
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

420人が本棚に入れています
本棚に追加