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「まあ、今回の件は俺にも落ち度はある」
「い、いえ、主任は悪くありません!私が勝手に1人で被害妄想してただけですから!」
「……昨日、半ば強引に誘っただろ?お前が来ない可能性のほうが高くて……だから、お前が約束の時間よりも早く待ち合わせ場所にいた時、嬉しくてたまらなかった」
どこか
弱々しい声で
そう話しながら
主任は私のことを抱きしめる
腕へとギュッと力を入れたのが伝わってきた。
「来てくれただけで良かったのに、それだけじゃ満足できなくなった。もっと蜜羽といたい、帰したくないって思って、咄嗟に思いついたのが寿退社する加藤へのプレゼントだった。」
いつもの主任は
強気で自信に満ち溢れていて
そんな
弱っている姿を見ていると
なんだか不思議な感情が芽生えてきて
気づいたら
主任の身体に腕を回し
主任の気持ちに
応えるようにギュッと腕に力を入れていた。
「契約取れたから一度社に戻ったんだ。そしたら加藤がいて渡したところをお前に見られたんだ」
「そうだったんですね」
「けど、俺は加藤にお前を紹介しようとした。が、お前が話も聞かずに逃げたから焦ったよ、本当」
「す、すみません……。でも、なんだか少し意外です。主任が私のことでそんなに余裕なくなったりするなんて」
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