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執務室につき
蜜羽の後ろ姿を見るなり
俺の頬は意識してないと
だらしなくも頬が緩みそうになる。
顔を見なくても彼女の後ろ姿ですら
愛おしく思ってしまう俺は相当重症なのかもしれない。
「藤井さ」
「じゃあ、ここをこうして」
「うん、なかなかいいんじゃない?」
「あ、でも、待ってください。やっぱりこっちの方がよりわかりやすく伝わるかも!」
「クスッ、そうだね」
彼女の元へ
近づいて行くと
ちょうど死角になって
見えなかった男性社員の姿が見え
肩を並べ近い距離で楽しそうに会話する
ふたりの姿が視界に入り思わず握った拳に力が入る。
「で、できたー!」
嬉しそうな
彼女の声が耳に届く。
普段なら彼女がそう声を
上げる時に隣にいるのは俺だった。
企画書が
うまくいかない時や
仕事に行き詰まった時も
今までの
蜜羽なら俺に相談してきていたのに
なぜ今回に限って俺ではなく他の男なんだ?
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