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気に入らない、 面白くない、歯痒い…… 自分でも驚くくらいに そんな子供じみた感情が次々と湧き上がる。 俺ってこんなに 自分に余裕ない男だった? ……いや、違う。 相手が他の誰でもない 蜜羽だからこそ、こんなにも余裕がなくなるんだ。 気づくと 俺は屋上へと来ていた。 仕事に 行き詰まったり 嫌いな取引先相手や いけ好かない上司に頭下げたりしたあと 俺は必ず自分の感情を リセットするために屋上へとやって来ていた。 「……そっか、タバコやめたんだったな」 昔の 名残りなのか 無意識に俺は 胸ポケットへと手を入れていた。 元々俺はタバコが 好きで吸っていたわけではない。 ただ商談の時や 接待の時に場を持たせたり 相手と気軽に話す上では必要な コミュニケーションツールだと思いタバコを吸い始めた。 .
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