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「主任、できました!」 自信満々の表情で 企画書を俺へと差し出す蜜羽。 「ん、おいといて」 「あの……」 「ん、なに?まだ、何か用がある?」 「……いえ。ここに置いときますので、よろしくお願いします」 「ん」 いつもの俺なら どれだけ仕事に集中していても 必ず手を止めて話を聞くようにしていた。 けれど 先ほどの 蜜羽と仲良く話す男の姿が 脳裏にチラついて ついそんな冷たい態度をとってしまい 最後にチラリと一瞬見た 彼女は悲しげな瞳で今にも泣きそうな表情をしていた。 「……俺、こんなに子供っぽかったっけ」 「本当ですよ。8も下の子になんて顔させてるんですか。」 独り言のように 小さな声で力なく囁いた言葉。 蜜羽の 表情を見て少なからずも 罪悪感を感じている俺へと さらに追い打ちをかけるように花田さんはそう言ってきた。 .
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